こんにちは。SDLでクリエイティブディレクターをしている安藤です。私、個人的に「こころの問題」について興味があり、心理教育プログラムの「レジリエンス・トレーナー」の資格も取得しています。今回は、このレジリエンスについて少し書きたいと思います。
レジリエンスとは、①ポジティブ心理学 ②レジリエンス研究 ③PTG(心的外傷後の成長) ④認知行動療法の4つの実証研究に基づく心理教育プログラムで、自己効力感の向上や抑うつ予防に効果が実証されています。アメリカやイギリスの名だたる名門大学の研究機関でも注目されています。
ネガティブな人、ポジティブな人

皆さんはネガティブとポジティブだったら、どちらが良いと思いますか?ポジティブな人は良くて、ネガティブな人は悪いと感じる人が多いのではないでしょうか。世の中には、ポジティブなことは良いことだ、ポジティブではなくてはいけないというような「ポジティブ信仰」も存在します。
不安な気持ち、怒りやイライラした気持ち、悲しみや落ち込む気持ち、恐怖や挫折感などを「ネガティブ感情」と呼び、このような感情を抱きやすい人を「ネガティブな人」と呼んでいます。
ネガティブ感情は悪者じゃない
では、そういったネガティブ感情は悪いものなのでしょうか。実はそうとは言い切れないのです。なぜなら、そもそも人間はネガティブ感情を感じやすくできているからです。
え?人間はネガティブにできているって?そんなバカな。と思った人も多いことでしょう。だって、ネガティブで得したことなんて一つもないじゃない、と。でも、実は結構得してきてるんですよ人間は。というより、人類は。
生存本能として必要なネガティブ感情

恐竜や猛獣が君臨してきた地球の長い歴史の中で、人類が今まで生き延びてこられたのは、実はネガティブ感情のおかげなのです。その理由は、簡単にまとめると以下のようになります。
・ 「不安」→将来のために準備をする
・ 「怒り」→外敵と戦うのに役立つ
・ 「落ち込み」→休息に役立つ
・ 「恐怖」→外敵から逃げるのに役立つ
何も「不安」を感じなければ、将来のために貯蓄をしたり、何かあったときのために保険をかけようとは思わないですよね。ちなみに日本人と比べて、アメリカ人は脳が不安を感じにくい作りになっているそうで、アメリカの保険加入率は大変低いそうです。それに比べて日本の保険は、次から次へと新しいサービスが誕生して充実していますよね。これも、不安というネガティブ感情のおかげだと言えます。
「怒り」や「恐怖」は、外敵との関係に大いに役立ちます。もちろん、争いは少ないほうが良いですが、相手が猛獣だと話は変わってきます。言葉の通じない猛獣と話し合いはできませんよね。そんな猛獣と森で出会ったときに、恐怖を感じなければすぐに殺されてしまいますし、どうしようもなくて戦わないといけなくなったときは、「怒り」の感情が役立ちます。
ちなみに、戦場の兵士に語り継がれている言葉に、「勇敢な兵士ほど早く死ぬ」というものがあります。勇敢なことは良いことのように思えますが、言い換えると恐怖を感じない(恐怖を克服している)ということで、そういう兵士は危険な場所に踏み込みがちで、臆病な兵士よりも命を落とすことが多いそうです。また、怒りによって、ストレスを感じた人間の体は、外傷に備えて血液が固まりやすくなるなどの生体反応が起こることで、命を守ることに役立ちます。
ネガティブ感情の副作用「ネガティブスパイラル」に要注意

このように「生存本能」として「ネガティブ感情」は必要だということがわかってもらえたと思います。しかし、このネガティブ感情、いいことばかりではなく、副作用もあります。この副作用が現代人の私たちを苦しめている原因であり、簡単にまとめると以下のものがあります。
・ 脳裏に残りやすく、何度も思い出す(反すう作用がある)
・ ネガティブスパイラル(悪循環)を起こす
・ 身体やこころに悪影響を与える
何か悪いことが起こると、怒りや悲しみというネガティブ感情が生じます。この感情はやっかいなことに脳に残りやすく、何度も思い出してしまいます。この悪循環からなかなか抜け出せない結果、体調を崩したり、こころが弱ってしまうことも。
例えば、仕事でミスをしたとします。そのミスを引きずってしまい、思い悩んだ結果、またミスをしないかと不安にとらわれてしまいます。不安が重なって夜眠れなくなり、その結果、体調を崩してしまいます。そして、またミスをしてしまい、また悩んでしまう。この繰り返しが「ネガティブスパイラル」です。この例え話ほどシンプルではなくても、似たような経験をしたことは誰しもあるのではないでしょうか。

「レジリエンス」とは、このネガティブスパイラルから回復する力のことで、次回からはもっと具体的にどうすれば良いのかをお伝えしていきますね。